丸越山口商店 について知っていることをぜひ教えてください

 

 

 


札幌通りの洋館

 

海岸町 札幌通り。素敵な古い洋館。

毎年 6月から7月にかけて 咲きほこるバラと赤レンガの壁を覆う蔦との見事な姿を 心待ちにされている方は大勢いらっしゃいます。

偶然通りかかり 今年も見事に壁を上った蔦とバラのコラボレーションに 思わずUターンさせた車を降り 夢中で写真を撮っていると・・・

「もう何日かすると 一番の見ごろになるよ」と 通りかかった方が優しく声をかけてくださいました。

「毎年 ここのバラと蔦の風景を楽しみにしているんですよ!綺麗にお手入れされていますよね!」という私に

「今年は蔦がずいぶん上まで伸びたんだよ」と・・・「ひょっとして こちらのご主人でいらっしゃいますか?」と伺うと 照れくさそうにうなずかれました。

 

その方は この洋館が 紙屋さんであったこと,創業明治26年の老舗で3代目でいらっしゃったこと。15年ほど前に 会社をやめられたことを 無知な私に丁寧に教えて下さり 「中・・見るかい?」 と 赤レンガの洋館のなかへ招き入れてくださいました。

 


創業は札幌で

 

{札幌南一条西二丁目} 創業は札幌。現在の大通り 丸井が立っている場所だったそうです。

「当時のススキノは本当に薄だらけ。狸小路はタヌキとキツネしかいなかったそうだよ」

 

そして 大正時代に 現在の札幌通りに移転 完成までに ご親族の不幸が重なり 1年以上の月日がかかったそうです。

大正12年10月完成 

 

「慶応スタイルで写ってるのが私。おぼっっちゃんでしょう?」と 冗談交じりに貴重なお写真をたくさん見せてくださいました

右から5人目が3代目であった御主人 となりは弟さん 2代目の葬儀の花輪

ものすごい数の花輪の写真。「お祭りですか?」とたずねると 「2代目だった父の葬儀さ。一応 町の名士みたいなものだったからなぁ」

昭和32年に他界された2代目の葬儀には これ以上に納まりきれないだけの花輪の数だったと。。。写真ながら 圧巻の光景です。

入口の真ん前の柱には看板が大正十五年九月と扉にかかれた金庫屋号の入った時計

重みのある木製の看板階段のわきに吊るされている大算盤柱も貼りも年代を感じる重厚感

「親父は名士だけど 俺はダメさ~」と 冗談を言いながら 貴重なものを次々に見せてくださいます。

階段脇の梁に吊るされた大算盤は「厘・毛」の単位もあります。ここは 丸ごと歴史資料館のようです。

 

「最後に とっておきをみせてあげるよ」

半纏と前掛け初荷の日の紅白旗

 

大切にしまわれている 半纏 前掛け 初荷の紅白旗

感動で胸がいっぱいになりながら 手に取らせて頂きました。

 

 「うちの女房が丹精込めてるバラを 楽しんでくれてありがとう」 「また見においで」

通りすがりの見ず知らずの私に 大切なものを見せてくださり 貴重なお話を聞かせていただきました。

3代目 ありがとうございます。

 

2015.6.23 撮影・文 中村 麻貴

 


2015年7月5日撮影澤野 ひろ美

2015年7月5日撮影澤野 ひろ美

2016年10月31日撮影石川詠心