研究中の疑問

ジャコブモノーは遺伝子配列からタンパク質、細胞機能へと情報が流れ、その流れの管理がどうなっているのかが定かではない時期に研究を始めた筆者も同じ疑問を抱いていた。

道に迷ったような庭師

筆者が一緒に研究を進めていたバート・バレルの共同研究者であったフレッド・サンガーは、どちら かと いえ ば 物静か な 紳士 で、 バラ を 育てる のが 好き で、 筆者が 出会っ て き た 最も 成功 し た 科学者 の 多く と 同じ よう に、 常に 時間 を 惜しま ず、 年下 の 科学者 たち に 話しかけ、 励まし て い た。 バート の 研究 室 に やってくる フレッド は、 まるで 道 に 迷っ た 庭師 の よう である。 フレッド・サンガーはノーベル賞を2つ受賞している。

データ収集の重要性

筆者の研究室では、分裂酵母の全ゲノム配列について研究していた。

研究のためにヨーロッパ中の12研究室からの協力成果を取りまとめた。完了までに100名で3年ほどかかった。

今ではDNA配列を2,3人で1日もあれば決定できてしまう。

データを集めることは重要だが、それはもっと困難だがやりがいのある目的へのはじめの一歩に過ぎない。

細胞は「生命の複雑な特性を実現するために連携して働くモジュールである」と考えることで、ほとんどの進展がもたらされると考えられている。

ここでのモジュールとは特定の機能を遂行するために、一つの単位として機能する構成要素の集まりを意味している。

例えば、ワットの調速機はエンジンのスピードを制御する明確な目標をもったモジュールとみなせる。