高田円蔵院の六地蔵六地蔵(ろくじぞう)は、小田原市内の多くの寺院に安置されている六体の地蔵菩薩像。

いわれ

鴨宮春光院浄土宗)の案内文の写し:

六地蔵さんの正式の名称は、六道能化地蔵菩薩と申します。向って右から地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道の六道をつかさどる地蔵菩薩です。

  • 地獄=おそれ
  • 餓鬼=よくばり
  • 畜生=おろかさ
  • 修羅=にくしみ
  • 人間=まよい
  • 天=ねがい

こうした心の世界に悩む人々、あるいは、こうした心を残したまま亡くなった人々をお救い下さって、阿弥陀様の慈悲(やさしさ)と知恵(やすらぎ)の世界へと導いて下さる菩薩様です。「おつむ」や「からだ」を撫で、手を合わせて、お願いをいたしましょう。

安楽山 春光院

帽子と前掛け

目立つ場所にある六地蔵には、檀徒や住持によって帽子や前掛けなどの装飾が施されていることが少なくない(2)

田島一徳寺の六地蔵。前掛けで両腕部が隠れ、モゾモゾしているようにみえる。小八幡三宝寺の六地蔵。意匠の差異により、前掛けの着衣が乱れている。六地蔵は六体セットで造立されていても(むしろセットで造立された場合の方が)それぞれ異なる仏具を持つなど、意匠が異なっている。お揃いの帽子や前掛けを着せようという所作は、こうした意匠の多様性を無視して行われることが多いため、持っている仏具によって着衣が乱れたり、大きな前掛けによって意匠の差異が見えにくくなったりしている(写真参照)(2)

小船源長寺の六地蔵。帽子のみで前掛けが無いため、意匠の違いが見えやすい。栢山善栄寺の六地蔵。前掛けは小さく、紫のマントを羽織っている。帽子は被せるが、前掛けは掛けない(源長寺)、前掛けを小さくしてマントを着せる(善栄寺)などは、この問題を調整した例であろう(要は、前掛けは無いか、小さい方がいい、ということ)(2)

沼代吉祥院の六地蔵。舟形光背に前掛けを掛けてあるため、首が浮いてみえ、前掛けにより上半身の意匠が隠れている。また舟形の光背が付いている地蔵像の場合、凹凸が少ないので帽子を被せることが難しく、石像全体に前掛けをかけると首が浮いてみえる(写真参照)(2)

この問題をうまく調整している例には、まだ遭遇したことがない(2)

参考資料

  1. 安楽山春光院「六地蔵」現地案内板、設置時期不明、2022年閲覧
  2. 2022年調査