室蘭の製鉄所、輪西の街、イタンキの砂浜、ミヤコザサの草原、エゾゼンテイカの花畑、太平洋を見渡す標高100メートルの丘があります。ここから室蘭の歴史自然、暮らしを眺めると、ある種の胸の痛みと全てを受け入れたくなる平穏を味わうと言われます。
 

大石道から見上げたマンチェスターの丘 撮影:中村麻貴さん

マンチェスターの丘から東の海を臨む 撮影:中村麻貴さん

マンチェスターの丘から南のトレイルを観る 撮影:中村麻貴さん
笹原にあるクレーターは旧日本軍の塹壕跡とも言われています

 

中村さん撮影の写真はトレイルから始まる朝からの引用です。

 

ハンググライダーの飛び出し台だと言われた不思議な造形も、大石さんの作った休憩用のベンチ
海と反対を見ると、新日鐵住金と三菱製鋼特殊鋼の工場、その手前に輪西の街がたたずみます。

 

 輪西を見下ろす丘のピーク。ここに登ったとき、友人が「マンチェスターみたいだ」という。イギリスの産業革命の中心地となった工業都市となんとも風情が似ているというのだ。後ろを振り返れば、イタンキの浜、太平洋の絶景。輪西の街の向こうには、新日鐵住金が24時間休まずに工場を動かしている。

マンチェスターはケルトをローマが侵略とたときから人が多く暮らすようになり、中世には美しい都市となった。羊毛紡績、毛織り物、綿織り物と「世界の工場」といわれたイギリスの産業革命を支えた街だ。

室蘭について「田んぼが・・・畑が・・・どこにもないべさ・・・」と曽根富美子が「親なるもの 断崖」の中で、女衒に語らせている。この作品、この丘の近辺と思われるシーンが幾度となく展開する。

最近、輪西に新日鐵住金の独身寮ができた。200人を超える若者が戻ってきてふじとりのとみちゃんが喜んでた。「うちなんか関係ないかと思っていたけど、知らない街で飲むときは長くやっている店が一番安心だっていうんだよ。いっしょ」と。マンチェスターも数々の星霜を乗り越えて今の姿。輪西の住民が守り抜いた企業と街の風景は世界中の誰がみても、なんとも美しいものなのかもしれない。

 

振り返ると海。イタンキ側の自然の美しさと、室蘭港側の輪西の街と工場の煙のコントラストが、世界一の風景だという人がいる。

 

この丘を起点に旅をする


この丘に行くには

JR東室蘭駅、輪西駅、道南バス東町ターミナル、などから、徒歩、タクシーなどでお越しください。たとえば東室蘭駅東口から、寄り道しながらゆっくり歩いたら二時間という記事が「東室蘭からイタンキを通ってユースホステルへ」です。健脚なら一時間で十分。輪西駅からは徒歩、20分ぐらいでマンチェスターの丘にたどり着くことができます。標高は輪西駅2メートル。東室蘭駅3.7メートル。マンチェスターの丘が100メートルです。イタンキ浜の大石道を登ると、0メートルから100メートルまでのトレッキングを楽しむことができます。

 

気温について

室蘭の気象統計に よると、最低気温が10度を超えるのは、6月から9月まで。最高気温が10度を超えるのは5月から10月。20度を超えるのは7月から9月の三ヶ月間。一 番気温の高い8月の最高気温の平均は23.4度。実際はこの数字より1度、2度低い体感だと思います。寒さが平気でむしろ味わいたい方は、天気が良く、虫 の少ない5月、9月においでいただくのがいいかもしれません。パンプスで登られる方もありますが、登山と同じような温度調節をお心がけいただくと安心で す。

日の出、日の入り

室蘭の日の出日の入りはこちらをご覧ください。3月20日の日の出5時41分、日の入り17時47分。6月20日の日の出3時59分、日の入り19時16分。9月20日の日の出5時20分、日の入り17時39分。12月20日の日の出7時01分、日の入り16時06分。
夏至の昼間は15時間を超える明るさ。日の出時間を意識されると太平洋から昇る朝日を存分に味わっていただけます。海霧、晴天のコントラストは高山、深山のようでもあり、大海原を旅する船の甲板のようでもあります。

ナミドグガについて

お 越しになる場合、お気をつけいただきたいことがあります。室蘭だけではなく、道央圏で、幼虫がハマナスなどを食べる毒蛾の幼虫が発生しています。触れると皮膚に発疹が出て痛みを起こしますのでお気をつけください。室蘭では、5月末ぐらいから被害が拡大します。調査によると「成虫は7月中旬に羽化する」の で、それ以降は被害に遭うことが減ります。草むらに入らず、草の刈られている道をお歩きください。室蘭市も注意を呼びかけています。